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Slope monitoring system

斜面モニタリング

斜面モニタリングは、地すべりや土石流など土砂災害の危険がある場所に斜面変状を観測する機器を設置して、いざという時に関係する工事現場や人家、公共施設などにサイレンや回転灯で危険を知らせるシステムです。

 

斜面変状の観測データはデータ送信のための機器を設置すれば電話回線を通じてパソコンやスマートフォンで確認することができ、斜面変状が危険な状態になった場合に関係者の携帯電話に警報メールを送信することもできます。

 

<パイプ歪計観測> 地盤調査を実施した調査孔を利用してパイプ歪計を設置することで、地すべり等の斜面変動の確認や変動の発生している深度を把握するモニタリング方法です。調査孔の孔径がφ66mmで設置可能です。

 測定値は計測器に各深度の端子を接続することで歪量を読み取り記録するため、現地で1深度ずつ読み取るか、データ収録装置に記録させたものを回収する方法があります。歪量は、具体的な変動量は把握できない(何mm変動したのかはわからない)が、データ収録装置を設置することで連続して変動データを取得することができます。

 観測深度が深くなるほど歪計ケーブルの数が多くなるため、すべり面深度が20m程度までの地すべりに有効な観測方法です。

 金属製の保護箱にデータ収録装置を格納することで積雪地の観測にも対応可能です(積雪期間中の観測データの取得実績があります)。

 

<孔内傾斜計観測> パイプ歪計と同じく地盤調査を実施した調査孔を利用して孔内傾斜計観測用のアルミガイド管を設置することで地すべり等の斜面変動の確認や変動の発生している深度を把握する観測方法です。

 パイプ歪計とは異なり、アルミガイド管の外径が50mm程となり孔内のクリアランスの関係から、調査孔の孔径がφ86mmでの掘削が必要です。

 測定値は、プローブ(各深度の変位量を計測する装置)をガイド管に挿入して計測するため、現地では手動で計測する必要があります。具体的な変動量(何mm変動したか)や変動している方向は把握できますが、手動観測が基本となるため連続データの取得には不向きな観測方法になります。

 孔内傾斜計はパイプ歪計とは異なりケーブル等の設置深度に影響するものは無いため、100m以上の深い深度の観測にも対応可能な観測方法となります。

 

<伸縮計観測(地表型・地中型)> 地表伸縮計は地表の変状(亀裂や段差等)をまたいでワイヤーを設置することで変状が拡大した場合にワイヤーが伸縮して変位量を計測する観測方法です。地中伸縮計も同じ原理で、調査孔を利用してワイヤーを地中に設置することで地すべり変動により伸縮したワイヤーの変位量を計測する観測方法です。

 地表型は変状を確認した上で設置できますが、地中型はワイヤーのみでは変位している深度の把握ができないため、パイプ歪計や孔内傾斜計との併用が必要になります。パイプ歪計や孔内傾斜計と併用した場合は、パイプ歪計や孔内傾斜計が観測できなくなった場合でもその後の変位を継続観測することができます。

 伸縮計はデータ収録装置が内蔵されているため、連続データの取得が可能です。伸縮計に警報機を接続することで災害や工事の際の安全管理に活用することができます。

 

<地下水位観測> 地下水位観測は地すべりなどの斜面変動をモニタリングする観測方法ではありませんが、地中変動観測と合わせて観測することで、斜面変動の要因となる地下水位の挙動を把握することができる観測方法です。

 観測方法は、触診式水位計を用いた手動観測や水位センサーとデータ収録装置を使用して連続データを取得する半自動観測の両方に対応することができます。

 地下水位観測孔は、地下水位変動の観測以外にも観測孔の地下水を採取して水質分析を実施することで地下水の起源を想定することができます。

 他にも地下水位観測孔を利用して地下水検層(地下水流動層を把握する原位置試験)等の原位置試験を実施するなどの利用方法があります。

 

 

<転倒式傾斜計・土石流センサー> 転倒式傾斜計は、水平変位や傾きを計測するセンサーが内蔵された機器であり、地すべり・斜面崩壊・土石流などの土塊の移動により傾斜計が変位した場合に変位量と角度を計測して地盤変動を把握する観測方法です。

土石流センサーも同じ転倒式傾斜計を利用しており、土石流渓流内に設置したワイヤーに土石流が接触することで転倒式傾斜計が変位して土石流の発生を感知する観測方法です。

 転倒式傾斜計はデータ収録装置に接続でき、連続データを取得することができます。土石流センサーは警報機への接続が可能であるため、下流の工事現場や保全対象となる人家に回転灯や警報で危険を知らせることができます。

 転倒式傾斜計は杭などに据え付けて地表部で変位を観測する方法や積雪などの影響を受けないように1m程度までの地中に埋めて観測する方法があります。

 

 

<気象観測装置(雨量計・積雪深計・融雪量計)> 雨量計は、観測を実施している現場に転倒桝を設置することで桝の中に入る降雨の量を計測する観測方法です。

 積雪深計は赤色レーザー光の反射で、雪面までの距離を計測することで積雪深の変化を取得する観測方法です。

 融雪量計は設置した集水ユニットに積もった雪が融ける際の融雪水をユニット下にある水位センサーで計測する観測方法です。

 台風などの豪雨や融雪水は土砂災害の要因となり、近年は局地的なゲリラ豪雨などもあることから現場の気象データは重要な情報となります。

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